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永遠の化学物質PFAS ~ビールからミネラルウォーターまで広がる汚染の波紋~

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「最近PFASの問題が地下水や土壌以外に、飲料水にも波及しているニュースを見ますね。」

「確かに気になりますね。では、解説します。」

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まずは自己紹介

弊社、株式会社メイプル・リンクは、創業34年のセントラル浄水器メーカーです。セントラル浄水器『ソリューヴ』の企画・製造・販売を行なっております。長年セントラル浄水器の販売を行なっている弊社が、気になる疑問についてお応えします。

PFASとは何か? 分解されにくい「永遠の化学物質」の正体

私たちの日常に深く浸透している飲料水や飲み物。しかし、そこに潜む見えない脅威として、有機フッ素化合物(PFAS)が注目を集めています。この物質は、炭素とフッ素の強力な化学結合により、加水分解、光分解、微生物分解、代謝に対して耐性があり、分解されにくい性質を持っています。そのため、「永遠の化学物質」と呼ばれ、生物の体内に蓄積しやすく、排泄に長い時間がかかる点が問題視されています。

PFASは、1万種類以上存在する化学物質群で、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を指します。主に撥水・撥油性、熱・化学的安定性などの特性から、溶剤、界面活性剤、表面処理剤、泡消火薬剤、半導体原料などに幅広く使用されてきました。特に、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、毒性が強く、人体に蓄積しやすい環境汚染物質として知られています。これらは、がんや免疫系への影響が懸念されており、予防的な観点から国際的な規制の対象となっています。

日本では、PFOSとPFOAがそれぞれ2010年と2021年に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)の第一種特定化学物質に指定され、製造・輸入が原則禁止されています。それでも、過去の排出による環境残留が問題となっており、河川、湖沼、海域、地下水から検出されるケースが続いています。また、泡消火薬剤として使用された設備が市中に残っていることも、汚染の要因の一つです。

こうしたPFASの特性を理解することで、なぜ飲料水や加工飲料から検出されるのかが明らかになります。次に、具体的な事例として、米国でのビール汚染と日本でのミネラルウォーター問題をみてみます。

「はい。」

米国ビールから検出されたPFAS 水源汚染がもたらす意外なリスク

ビールの安全性を揺るがしかねない研究結果が発表された。RTIインターナショナルの研究チームが米国各地で販売されている23種類のビールを分析したところ、その95%から飲料水の汚染源となり発がん性が懸念される有機フッ素化合物(PFAS)が検出されたというのだ。

WIRED 「ビールから“永遠の化学物質”が検出され、米国の飲料業界に波紋」より引用

ビールは、人類が古代から親しんできた飲料で、世界で最も消費されるアルコール飲料の一つです。その成分の大部分は水で、1リットルのビールを作るために最大7リットルの水が必要とされます。こうした大量の水を使用する醸造過程で、PFASが混入する可能性が指摘されています。

最近の研究では、米国各地で販売される23種類のビールを分析した結果、95%からPFASが検出されました。この研究は、飲料水の汚染源として知られるPFASの発がん性懸念を背景に行われました。分析対象のビールの中には、米環境保護庁(EPA)の基準を超える濃度のPFOSとPFOAを含むものもあり、特にノースカロライナ州のケープフィア川流域で醸造されたビールで汚染が顕著でした。この地域はすでにPFAS汚染が報告されており、水源地の状況がビールの成分に直接反映された形です。

さらに興味深いのは、各地域の水道水に含まれるPFAS濃度と、同じ場所で醸造されたビールのPFAS濃度との間に強い相関関係がある点です。これは、市販ビールに関する初めての証拠で、飲料を通じた新たな曝露経路を示しています。一般的なビール醸造所には、水の濾過装置や処理設備がありますが、これらは主にミネラルやpHを調整するためのもので、PFASのような化学物質を除去するようには設計されていません。そのため、地域の水道水が汚染されていれば、ビールに影響が及ぶのは避けられません。

米国には数千ものビール醸造所があり、その約18%がPFAS検出水道水供給地域に位置しています。つまり、多くの消費者が知らずにPFASを含むビールを摂取している可能性があります。特に、クラフトビール文化が盛んな米国では、この事実が業界全体に波紋を広げています。

規制面では、飲料水中のPFASに上限値が設けられ始めていますが、ビールのような加工飲料に対する基準はまだ存在しません。研究者たちは、ビール醸造所が独自に浄水処理を見直す必要性を警告しており、消費者、醸造家、政策立案者の連携が求められています。この問題はビールに限らず、コーヒー、紅茶、炭酸飲料など水を原料とする飲料すべてに及ぶ可能性があります。

今回の発見は23種類の分析結果に基づくもので、すべてのビールが汚染されているわけではありませんが、日常の「乾杯」が有害物質との接触につながるリスクを浮き彫りにしています。

「確かに、製造時に水を使うビールやお酒は、汚染の影響を受けますね。」

日本で起きたミネラルウォーターのPFAS検出事件 暫定目標値の6倍という衝撃

神戸市内の企業が製造したミネラルウォーターから、健康への影響が懸念されている有機フッ素化合物のPFAS(ピーファス)が検出されていたことが5日わかった。食品衛生法上の基準はないが、水道法の暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)の最大約6倍に相当する濃度。市の要請を受けて企業側が対応し、現在は目標値以下に収まっているという。

朝日新聞 「ミネラルウォーターからPFAS検出 水道水の暫定目標値超える濃度」より引用

一方、日本でもPFAS汚染が身近な飲料に及ぶ事例が明らかになりました。神戸市内の企業が製造したミネラルウォーターから、PFASが検出されたのです。検出濃度は、水道法の暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)の最大約6倍に相当し、食品衛生法上の基準がない中でも大きな懸念を呼んでいます。

この問題は、2022年12月に厚生労働省から神戸市へ情報提供されたことをきっかけに発覚しました。市は2023年1月と6月に、原水の地下水を検査。1リットルあたり94~310ナノグラムのPFASが検出され、商品のペットボトルからも100ナノグラム程度が確認されました。市は事業者に迅速な対応を要請し、11月には12月20日までに目標値以下への低減、または販売停止を求めました。

事業者側は、PFASを除去する活性炭フィルターを設置。昨年12月の市検査で、目標値以下に収まったことが確認されています。事業者の協力的な姿勢が功を奏した形ですが、市の担当者は「法律上の違反ではないが、予防安全的な観点からPFASの摂取量を減らすべき」と説明しています。また、科学的根拠に基づく基準の早期設定を国に求めています。

この事件を情報公開請求で明らかにした議員は、「ミネラルウォーターは水道水よりもきれいというイメージが先行しており、食品衛生法上の対応が遅れているのではないか」と指摘。確かに、ミネラルウォーターは健康志向の消費者が選ぶ飲料ですが、こうした汚染リスクが明らかになることで、信頼性が問われています。

PFASを巡る日本の規制は、水道法で暫定目標値が定められていますが、ミネラルウォーターを含む加工飲料への適用は限定的です。この事例は、地下水源の汚染が製品に直結する危険性を示しており、泉源管理の重要性を再認識させます。

「まさにミネラルウォーターもそうですね。そもそも、想定外のことで規制そのものがない。しかし、計測していないだけで『ない』ということにはならないですからね。」

消費者庁の新基準 ミネラルウォーター類におけるPFOSとPFOAの規格設定

こうした事例を受け、日本ではミネラルウォーターのPFAS対策が強化されています。消費者庁と厚生労働省は、令和7年6月30日に通知を発出し、清涼飲料水のうちミネラルウォーター類について、PFOSとPFOAの合算値として0.00005 mg/L(50 ng/L)の成分規格を設定しました。これは、食品衛生法に基づくもので、主に殺菌または除菌を行うものに適用されます。

基準値の設定考え方は、水道水質基準に準じています。具体的には、人が1日に飲用する水の量を2 L、平均体重を50 kg、水経由の曝露割合を耐容一日摂取量(TDI)の10%と仮定し、1日当たりの曝露量がTDIを超えない値を算出しています。TDIは、ヒトが一生涯毎日摂取しても健康への悪影響がないと推定される量で、体重1 kg当たりのmg/kg体重/日で示されます。この科学的根拠に基づくアプローチにより、ミネラルウォーターが水道水の代替として安全に摂取できるように配慮されています。

殺菌・除菌を行わないミネラルウォーターの対応

殺菌または除菌を行わないミネラルウォーター類(容器包装内の二酸化炭素圧力が20℃で98 kPa以上のものを除く)については、食品衛生法の製造基準で、泉源及び採水地点の環境保全を含む原水管理が規定されています。PFOSとPFOAは人為的な環境汚染物質に該当するため、当面の間、合算値として50 ng/Lを人の健康を損なうおそれのない濃度とし、適切な衛生管理が求められます。

また、二酸化炭素圧力が98 kPa以上のものについては、原水について自主的にPFOSとPFOAの濃度を管理し、50 ng/Lを参考に低減措置を検討することが望ましいとされています。従来、コーデックス規格のナチュラルミネラルウォーター規格に準拠していましたが、現時点でコーデックスにPFAS基準がないため、このような柔軟な対応が取られています。

他の清涼飲料水や食品製造用水への影響

ミネラルウォーター類以外の清涼飲料水については、製造基準で水道水またはミネラルウォーター類の規格に適合する水を原料とするよう規定されているため、間接的にPFAS管理が求められます。一方、食品製造用水(食品の洗浄や冷却などに用いられるもの)は、水道水の代替として摂取されないため、現時点でPFOSとPFOAの規格基準は設定されていません。ただし、水道水以外の使用時には、自主的に50 ng/Lを参考に低減措置を検討することが推奨されます。

PFOS、PFOA以外のPFASについては、評価の十分な知見が得られていないため、基準値は設定されていません。今後、食品安全委員会の評価や水道水質基準、コーデックス規格の動向を注視し、対応を進める方針です。

耐容一日摂取量(TDI)の設定は、食品安全委員会の科学的知見に基づいています。

「なるほど。」

海外の規制状況と日本との比較 国際的な取り組みの現状

PFASの飲料水規制は、国や地域によって異なります。日本では、水道水とミネラルウォーター類(殺菌・除菌を行うもの)でPFOSとPFOAの合算値50 ng/Lが基準ですが、国際基準は多岐にわたります。

  • WHO:暫定ガイドライン値として、PFOSとPFOAそれぞれ100 ng/L、全PFAS500 ng/Lを提案(2023年11月レビュー継続中)。
  • コーデックス規格:基準値未設定。
  • EU:人間の消費を目的とした水で、PFAS Total500 ng/L、Sum of PFAS(指定20種類)100 ng/L。2026年1月までに遵守措置を講じる。ナチュラルミネラルウォーターは適用除外。
  • 米国:飲料水(水道水限定)でPFOSとPFOAそれぞれ4.0 ng/L。ミネラルウォーターは未規制。2024年4月に規制公表後、遵守期限を2029~2031年に延長検討中。

このように、米国ではビールのような加工飲料に規制が及ばない点が日本との違いです。日本はミネラルウォーターに基準を設けたことで、先進的な対応を示していますが、全体としてPFASのレビューが進行中です。

「問題が起こってからでないと決められないですが、PFASの問題は水を使う全てに影響するとなるとミネラルウォーターに限った話ではないですよね。どこまで影響が及ぶのでしょうか。」

PFAS汚染の健康影響と私たちにできる対策

PFASの健康影響については、すべての物質に有害性が認められるわけではありませんが、PFOSとPFOAは特に懸念されます。体内蓄積により、がんや免疫系への悪影響が指摘されており、耐容一日摂取量(TDI)の設定もこれを考慮したものです。

日常でPFASに曝露する経路は多岐にわたり、飲料水以外にも食品包装、調理器具、防水スプレーなどがあります。今回のビールとミネラルウォーターの事例は、水源汚染が加工飲料に及ぶリスクを象徴しています。

対策として、以下の点が重要です。

  • 水道水や飲料のPFAS濃度を定期的に検査する。自治体や事業者の取り組みを支援。
  • 事業者は活性炭フィルターなどの浄水設備を導入。基準遵守を徹底。
  • 消費者庁や環境省の情報を活用し、自主管理を心がける。
  • 政策面では、科学的基準の早期設定と国際連携を推進。

「なるほど。」

今後の展望 飲料の安全性を守るための連携

ビールからミネラルウォーターまで広がるPFAS汚染は、目に見えない形で生活に忍び寄っています。しかし、消費者庁の基準設定や事例対応を通じて、解決への道筋が少しずつ見え始めています。すべてのステークホルダーが一体となって取り組むことで、より安全な飲料環境を実現できるでしょう。私たち一人ひとりが情報を共有し、選択の目を養うことが大切です。

「確かにそうですね。」

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「いかがでしたでしょうか。PFASに関するビールからミネラルウォーターまで広がる汚染を事例に現時点の施策について解説しました。」

「はい。よく分かりました。」

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