PFAS調査漏れと縦割り行政の課題 ~水道行政移管の背景~

「PFASの調査で省庁間の伝達ミスがあったというニュースを見ました。水道行政の移管とも関係があるのでしょうか?」
「確かに気になりますね。では、解説します。」
まずは自己紹介
弊社、株式会社メイプル・リンクは、創業35年のセントラル浄水器メーカーです。セントラル浄水器『ソリューヴ』の企画・製造・販売を行なっております。長年セントラル浄水器の販売を行なっている弊社が、気になる疑問についてお応えします。
PFAS調査の記載漏れが示す縦割り行政の課題
環境汚染の恐れがあるとして国が在庫把握を求める有機フッ素化合物(PFAS)を含む泡消火剤について、国の全国調査で空港保有分に記載漏れがあったことが2日、関係者への取材で分かった。公表資料にない大阪(伊丹)空港が代表物質PFOAを含む泡消火剤4210リットルを保有。空港を所管する国土交通省の調査内容が、結果をまとめる環境省に伝達されていなかった。
東京新聞(共同通信)「PFAS泡消火剤調査で記載漏れ 大阪空港保有分、省庁間伝達ミス」より引用
2026年現在も、水道や環境に関わる行政の連携について注目が集まっています。その一例として、PFASを含む泡消火剤の全国調査で、大阪空港(伊丹空港)が保有する分が調査結果に記載されていなかった事例が報じられました。国土交通省が所管する空港の情報が環境省への伝達で漏れたことが原因とされています。
このような省庁間の情報共有の不足は、縦割り行政の典型的な弊害として指摘されています。水道行政においても、過去に同様の課題が指摘されてきました。今回の事例は、水道や環境に関わる行政の枠組みが変わる中で、改めて注目すべきポイントです。
縦割り行政が水道分野に与えてきた影響
縦割り行政とは、各省庁がそれぞれの所管業務に特化して運営されることで、横断的な課題への対応が遅れたり、情報共有が不十分になったりする状態を指します。水道事業では、老朽化した管路の更新や災害時の復旧、広域的な経営基盤の強化といった課題が長年指摘されてきました。これらの課題は、単一の省庁だけで解決できるものではなく、複数の行政分野が連携する必要があります。
しかし、従来の体制では上水道の整備・管理と下水道の管理が分かれていたため、総合的な対応が難しかった側面がありました。こうした背景から、水道行政の枠組みを見直す動きが進められることになりました。
「今回の場合はPFASという同じ課題を2つの省庁で管轄しているわけですよね…。」
水道にまつわる主な痛みと行政の役割
日本全国の水道事業では、高度経済成長期に整備された管路や施設の老朽化が大きな課題となっています。法定耐用年数である40年を超過した管路が多数存在し、更新には多大な費用と時間がかかります。また、地震や豪雨などの災害時には、迅速な復旧が求められますが、従来の体制では対応に時間がかかるケースもありました。
さらに、人口減少に伴う水道事業の経営基盤の弱体化も深刻です。小規模な事業体では、技術者の確保や設備投資が難しく、広域化や効率化が求められています。これらの痛みは、住民の日常生活に直結する問題であり、行政の枠組みが変わることで、より効果的な対応が期待されています。
「水道管が古くなっている地域も多いと聞きますが、行政の役割はどう変わるのでしょうか。」
長年続いた水道行政の歴史的背景
水道法第1条には、「清浄にして豊富低廉な飲料水を供給することにより、公衆衛生の向上と生活環境の改善を図り、もって国民の健康で文化的な生活の確保に寄与すること」と定められています。この目的から、水道行政は長らく厚生労働省(およびその前身省庁)の所管でした。
第一条 この法律は、水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめるとともに、水道の基盤を強化することによつて、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とする。
厚生労働省「水道法」より引用
戦後から高度経済成長期にかけて、水道の普及と水質の確保は公衆衛生の重要な柱でした。一方、下水道の整備は建設省(現在の国土交通省)の所管であり、上水道と下水道の行政が分かれていた状態が約60年間続いてきました。
この分離体制は、特定の分野に特化した専門性を発揮しやすい一方で、施設の老朽化対策や災害対応、経営の効率化といった横断的な課題への対応を難しくする要因にもなっていました。
「昔から水道は厚生労働省が担当していたイメージがあります。移管はいつ決まって、いつから変わったのですか。」
約60年ぶりの水道行政移管 プロセスと内容
移管の決定から施行までの流れ
水道行政の移管は、2022年9月2日に開催された政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で方針が示されました。厚生労働省の組織見直しの一環として、感染症対応能力を強化するための措置の一つです。
その後、2023年5月に「生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律」が成立し、2024年4月1日から施行されました。これにより、約60年ぶりに水道行政の大きな枠組みが変わることになりました。
国交省と環境省の役割分担
移管後の主な役割分担は以下の通りです。
国土交通省が担うのは、水道整備・管理行政のうち水質又は衛生に関する事務を除く大部分です。具体的には、水道事業の認可や指導監督、施設基準の策定、経営基盤の強化、広域連携の推進、災害時の復旧支援などが含まれます。下水道行政と一体で運営することで、上下水道の総合的な整備・管理が期待されています。
環境省が担うのは、水道に関する水質基準の策定など、水質又は衛生に関する事務です。環境保全の観点から公衆衛生の向上に資する専門的知見を活用します。
この分担により、インフラ整備や災害対応の専門性を有する国土交通省と、水質管理の専門性を有する環境省がそれぞれの強みを活かす体制が整いました。
「なるほど。」
参照:国土交通省 コラム 水道整備・管理行政の移管について
参照:厚生労働省 水道行政の最近の動向等について
参照:日本水道新聞 水道行政移管へ 国交省、整備・管理全般 環境省、水質基準策定等
参照:国立国会図書館 生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律(令和5年法律第36号)
縦割り行政の弊害と移管が目指す改善
前述のPFAS調査の事例のように、省庁間の情報共有が不十分だと、環境や水道に関わるリスクの全体像を把握しにくくなります。縦割り行政の弊害は、こうした日常的な連携の場面で顕在化しやすいのです。
今回の水道行政移管は、こうした課題に対する一つの回答として位置づけられます。国土交通省に水道の整備・管理を一元化することで、老朽化対策や災害対応、経営基盤強化といった横断的な課題に、より機動的に取り組めるようになります。また、下水道との連携を強化することで、上下水道を一体的に捉えた施策が進めやすくなりました。
ただし、移管後も国土交通省と環境省の緊密な連携は不可欠です。縦割り行政の完全な解消ではなく、課題に応じた柔軟な対応を可能にするための改革と捉えることができます。
「移管で縦割りの問題は解決するのでしょうか。」
行政の変化と家庭でできる水の質向上
水道行政の枠組みが変わり、国土交通省と環境省がそれぞれの専門性を活かして取り組む体制が整いました。これにより、管路の老朽化対策や災害時の復旧力の向上が期待されます。一方で、実際に各家庭に届く水の質は、道路の下を通る給水管の状態や、建物内の配管の状況に大きく左右されるのが実情です。
行政の取り組みが進むことはもちろん大切ですが、それと同時に「自分たちの使う水の質を、自分たちの手で高められる」という選択肢を持っておくことにも意味があります。特に、行政の枠組みや地域のインフラ整備の進み具合に左右されにくい形で、日常的に使う水の質を安定させられることは、長期的に見て生活の安心感につながります。
元付で家全体をカバーする意義

水道メーターの直後に設置する元付タイプの浄水器は、家庭の入口で水を浄水するため、飲用だけでなく浴室や洗濯、トイレなど家全体の水を対象にできます。容量の大きいシステムであれば、家族の生活スタイルに合わせて十分な量を安定的に供給することが可能です。
特に、古い管路が多い地域や、塩素臭・赤錆が気になるご家庭では、入口で一度浄水することで、日常の水の質を総合的に高められます。行政の取り組みが進む中でも、家庭単位で水の質を管理できる選択肢は、安心感につながります。
ソリューヴが選ばれる理由

弊社のセントラル浄水器『ソリューヴ』は、元付で家全体を浄水する設計で、容量の大きさが特長です。長年の実績と試験データに基づき、塩素や赤錆などの除去性能を確認しています。家全体の水を一度に扱えるため、浴室や洗濯機まで快適に使える点が、多くのご家庭から支持されています。
行政の枠組みが変わる今だからこそ、家庭の入口で水の質を整えることが、生活の質を高める実践的な方法の一つと言えます。
「PFASや水道管の老朽化問題などの課題が山積みの中、行政の変化もさることながら、外側の状態に関係なく自分たちの毎日使う生活水は自分たちで守るための”選択肢”はあって良いとは感じますね。」
「いかがでしたか。PFAS調査漏れと縦割り行政の課題のニュースから解説しました。」
「はい。よく分かりました。」
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