全国の耐震化率が示す水道システムの格差

「最近地震が多いですが、水道施設などの耐震化ってどうなんでしょうか。」

「確かに気になりますね。では、解説します。」

まずは自己紹介

弊社、株式会社メイプル・リンクは、創業33年のセントラル浄水器メーカーです。セントラル浄水器『ソリューヴ』の企画・製造・販売を行なっております。長年セントラル浄水器の販売を行なっている弊社が、気になる疑問についてお応えします。

なぜ耐震化が重要なのか

国土交通省が「上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果」を発表しました。この内容によると、耐震化とは、地震による被害を最小限に抑えるために施設や設備を強化することです。上下水道施設が耐震化されていない場合、以下のようなリスクがあります。

断水

震災後、飲料水や生活用水が利用できなくなる。

下水道の機能停止

衛生環境の悪化による二次被害の発生。

復旧の長期化

施設の損壊が広範囲に及ぶと、修復作業に多大な時間とコストがかかる。

例えば、2024年1月に発生した能登半島地震では、耐震化されていない施設が多かったため、広範囲に断水が発生し、復旧までに非常に長い時間を要しました。一方で、耐震化が進んでいた施設では、機能停止を防ぐことができました。このことから、平時の耐震化がいかに重要であるかが明らかです。

「なるほど。」

全国の耐震化率の現状

緊急点検の結果、全国の上下水道施設の耐震化状況には大きな課題があることが明らかになりました。まず、水道施設の耐震化率を見てみると、取水施設が46％、導水管が34％、浄水施設が43％といずれも半数以下に留まっています。送水管については47％、配水池は67％と、多少高い割合を示していますが、それでも全国的には十分とは言えません。

一方で、下水道施設の耐震化率についても深刻な状況が続いています。下水処理場は48％、下水道管路は72％と、比較的進んでいる部分もありますが、ポンプ場の耐震化率は46％に過ぎません。これらの数値から、多くの施設が耐震化において遅れを取っていることがわかります。特に基幹施設である浄水場や下水処理場の耐震化が十分でない現状は、災害発生時に広範囲で機能停止が起きるリスクを高めています。

このように、全国の耐震化率は施設によってばらつきが見られ、どの施設もまだ課題が残されている状況です。これは、地域や施設規模による耐震化率の差が反映された結果とも言えるでしょう。

「確かにそうですね。」

地域間格差が生じる理由

耐震化率には地域ごとに大きなばらつきがあります。その背景には以下の要因が挙げられます。

財政力の差

自治体ごとの財政力により、耐震化工事に割ける予算が異なります。大都市圏では比較的予算が確保されやすい一方、小規模自治体では財源が限られており、耐震化が進みにくい状況です。

人口規模の影響

耐震化率は給水人口の規模によっても異なります。例えば、配水池の耐震化率は50万人以上の大規模事業者で75%に達するのに対し、1万人未満の小規模事業者では27%に留まっています。

地理的要因

山間部や離島などでは、アクセスが困難なため工事の難易度が高くなり、結果として耐震化が遅れる傾向にあります。

耐震化率の低さがもたらすリスク

耐震化率が低い地域では、以下のようなリスクが想定されます。

避難所での水供給の確保が難しい

耐震化されていない水道管や下水管が破損すると、避難所への水供給が断たれる可能性があります。

復旧作業が長期化

施設が損壊すると、復旧に必要な時間や費用が増加します。特に小規模自治体では、限られた人員と予算での対応が難しくなります。

住民の信頼喪失

水道や下水道が使えない状態が続くと、住民の不満や信頼の低下を招き、自治体運営にも影響が及びます。

「いざという時に出てきますよね。」

解決に向けた取り組み

これらの課題に対し、国や自治体は以下のような取り組みを進めています。

計画的な耐震化の推進

国土交通省は「上下水道耐震化計画」を策定し、全ての水道事業者と下水道管理者に耐震化計画の作成を求めています。これにより、全国的に耐震化を進める方針です。

効率的な技術の開発

施工困難な地域向けに新しい耐震化工法の開発が進められています。たとえば、軌道下の配管工事に対応した技術などがその一例です。

広域連携の推進

小規模自治体が単独で耐震化を進めるのが難しい場合、複数の自治体が協力して広域的な耐震化計画を立てることが提案されています。

住民参加型の防災計画

住民に耐震化の重要性を理解してもらい、地域の防災力を高めるための啓発活動も行われています。

参照：国土交通省　上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果

まとめ

「いかがでしたでしょうか。全国の水道システムの耐震化率について解説しました。」

「はい。よく分かりました。」

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